隣のワカメは青く見える

九州を拠点に生きている現役3年目大卒看護師。最近の悩みは観劇と旅行に費やすお金をいかに捻出するか。そんな日々です。

19/5/11S@奇跡の人

約1ヶ月前になりますが、母と一緒に鳥栖まで奇跡の人を見に行ってきました✨ソワレだったのですが、この日は丁度サガン鳥栖の試合があっていて人がとてつもなく多かった😂因みに鳥栖は監督が変わってから快勝だった模様⚽️


https://horipro-stage.jp/stage/mw2019/

《あらすじ》
アラバマのケラー家。 アーサー・ケラー大尉(益岡徹) とその妻 ケイト(江口のりこ) がベビー・ベッドを心配そうに覗き込んでいる。 1歳半の娘 ヘレン・ケラー鈴木梨央) が熱を出したのだ。 やっと熱が下がり安心したのも束の間、 ヘレンは音にも光にも全く反応しなくなっていた……。
それから5年。 それ以降、 ヘレンは見えない、 聞こえない、 しゃべれない世界を生きている。 そして、 それゆえ甘やかされて育てられたヘレンは、 わがまま放題。 まるで暴君のように振る舞うヘレンを、 家族はどうすることもできない。 そんな折、 ボストン・パーキンス盲学校の生徒 アニー・サリヴァン高畑充希) の元に、 ヘレンの家庭教師の話が舞い込んでくる。 誰もがお手上げの仕事ではあったが、 孤独で貧しい環境を20才まで生きてきたアニーは、 自立という人生の目標を達成するため、 初めて得た仕事に果敢に挑戦しようとする。
はるばる汽車を乗り継いでケラー家にたどり着いたアニー。 アーサー、 そしてヘレンの義兄 ジェイムズ(須賀健太) は、 余りにも若い家庭教師に疑念を抱くが、 ケイトだけはアニーに望みを掛ける。 そして、 アニーとヘレンの初対面の時。 ヘレンはアニーに近づき、 その全身を手で探る。 それはふたりの闘いのはじまりだった……』

実は今回『奇跡の人』初めての鑑賞でした。かつ鳥栖公演の追加公演のチケットを確保。前から3列目のセンター2席!!!もう高畑充希ちゃんかっこよすぎるし、鈴木梨央ちゃん可愛すぎるし。白熱でした!!!

市民文化会館だけあって3幕の舞台なのでお尻がそれはもう痛い事😂椅子とかガッチガチに固かったw

《キャスト》
アニー・サリヴァン:高畑充希
ヘレン・ケラー:鈴木梨央

ケイト・ケラー:江口のりこ
ジェイムズ・ケラー:須賀健太
ヴァイニー:久保田磨希
アナグノス:青山勝
エヴ伯母:増子倭文江
ハウ博士:原康義
アーサー・ケラー:益岡徹

パーシー/ローラ:水野貴以
マーサ/アリス:橋本菜摘
ベル/ビアトリス:乙倉遥
ジミー
セアラ

初めて足を運んだこの作品。心が洗われるかのように涙が溢れました。ただただ感動した、というのではなく。そう言ってしまうのが勿体ないくらいにずっしりとした重量感。自分を見つめ直す作品だなと感じました。

まずこの2人に敬意を込めて。

高畑充希さん】
4列目で観た充希ちゃんが女性としてかっこよすぎました。どんな境遇でも前を見続け、ハンデを負っていた分誰かを導く力は強く自分を奮い立たせる原動力になっているんだろうなぁ。幼少期の、想像を絶する生活の中でしたたかに生き抜いてきた彼女。一方で、自分の世界を必死に追い求めるあまりジミーを助けられなかった事実に今もなお囚われ続けています。きっとヘレンに与えた全てがジミーにしてあげたかった全て。ヘレンに対する異常な想いの強さの裏にはジミーへの想いが隠れている、そんなアニーの強さと弱さを偏りなく演じる充希ちゃんが本当にかっこいい。
真っ直ぐなあの瞳に、この世界はどんな風に映っていたんだろう。こんな事ならヘレンの充希ちゃんも観ておけばよかった…😞と、とても後悔するような素晴らしい演技力でした。

鈴木梨央さん】
実はこの子が出ていた事が今回の観劇の決め手になったとかなんとか…。ヘレン役の梨央ちゃんは、普段テレビで観ていても演技が本当に好きな子だったんだけれど、今回の作品が初舞台だったそう。のわりにとても堂々とヘレンを演じていて、何というか、度胸が凄い!!!やっぱり梨央ちゃん好きだなぁ😌小さいながらに怒りや戸惑いと言った感情をフルオープンで表現していて『生きる』というエネルギー、そしてオーラがとんでもなかったです。こう、他の人の人生を自分の中に落とし込んで表現出来るって並大抵のことじゃないし、本当に尊敬できる。やっぱりこんなにも観ている人に感動を分け与える事が出来るっていうのはとんでもない努力とやっぱり生まれ持ったものなんだろうなぁとしみじみと感じました。


ジェイムズ役の須賀健太くんは父親に認められたい一心で生きてきたのに、その全てが空回りしてしまう。その挙句邪険にまで扱われてしまう始末。本当に彼は不器用な人物なんだなぁとつくづく感じますね。でも彼は彼なりの考え方があり曲げたくない信念というものがあり、最後のアニーがヘレンを連れ出すシーン。2人を追って行くジェイムズに対して、今まで優柔不断に動いてきた彼が『僕はここをどかない!』と父親に対して意見を捻じ曲げず真正面に強く言い放つ様が彼もまたアニーとの関わりの中で密かに成長していたんだなと嫌でも感じさせられます。(何となくあの勢いが、コビーの「もうやめましょうよ!!!」のシーンとダブって頭をよぎってどうしようもありませんでした)
いや、でも本気でジェイムズのあの行為は良くも悪くもケラー家を変える勇気ある行動だったし、何処と無くシャンスク目線で「偉いぞ!!!」と客席からジェイムズを褒めてました。

江口さん演じるケイトもケイトでヘレンを大切に思うばかり、まるで腫れ物に触るかのように彼女に接しています。それはヘレンにとってとても居心地の良い事で、周りにとっても『気にしている気になっている』と言う、何もしていない所謂偽善。だけどそれは結局の所なんの解決にもならない行為であり「大切だから傷つけたくない」を理由にする事はヘレンを放棄しているのと同じなんだよなぁ。アーサーもケイトもジェイムズもそれを心のどこかで分かっていて、でもどうする事も出来なくて、各々の苦しみが絶妙に重なり合って、衝突しあうのもこの作品の見どころなんだな。

と言いつつ、ケイトがヘレンを大切に思う気持ちには偽りはなく、アニーからヘレンを引き離すシーンはみている側も苦しくて仕方がありませんでした。かく言うアニーも、ケイトに対して「あなたの愛はヘレンにとって障害です」と言い切る強さ。それは彼女がこれまで生き抜いてきた環境と、経験があってこそ。周りがヘレンが特別扱いしている中、アニーはヘレンが例え1人になっても自立して生きていけるように接します。かつて自分が経験したように、1人で生きていく為に必要な知識、根本的な術を身につけられるように。それだけで既に泣けるのに、最後は彼女に応えるようにヘレンが『コトバ』を自分の頭で理解した瞬間もう滝のように泣いてました。なんだよもう。

1ヶ月経っても伝えたい事がまとまらない…。表現力の乏しさに泣けてくるよ。

兎にも角にも良い舞台だった。それだけです!!!