隣のワカメは青く見える

九州を拠点に生きている現役3年目大卒看護師。最近の悩みは観劇と旅行に費やすお金をいかに捻出するか。そんな日々です。

19/3/19S@KURIOS for CIRQUE DU SOLEIL.

さてさて、今回はお待ちかねの大サーカス。世界に誇るCIRQUE DU SOLEIL.の創設30周年記念最新作品に行ってまいりました。

これまでシルクドソレイユ作品は2015年の『ovo』、2017年の『totem』の2作品を大学の頃の友達と観てきており、今回の『キュリオス』に至ります。

お天気が悪そうなトーテムの頃↓(2017/3.筥崎)

『KURIOS(キュリオス)』=『好奇心』『骨董品』
つまりはこれまでの歴史をぶち込んだ想い出、輝き、感動、喜び、そんな全てが詰め込まれたとっておきの飾り棚、博物館。そんな美しい作品の舞台は様々な思惑の蠢く産業革命時代、まるでスチームパンクのような近未来。目に見えないものを信じる主人公《シーカー》彼を軸として、個性的なユーモアに溢れるキャラクター達がアクションを起こしていきます。11:11のたった1分間に巻き起こるストーリー。そう、これは彼の希望に溢れた夢物語なのです。

直後の感想としては、「もう一度行きたい!!!」というのが素直なところでしょうか。実に簡単です。それ程面白かったのです。これまで観てきた2作品よりストーリー性を表面上に目立たせているだけあって世界観がぐっと深まっていて、いつか幼い頃にどこかで見た夢のような奇抜で破茶滅茶な時空の歪みに誘われる妙な感覚。全身が興奮し真から奮い立たされるような感覚。もう初めから完全にのめり込まれました😌

本日の演目↓

以下ネタバレを含みます😇

【ロシアン・クレードル
シーカーの夢の世界で1番初めに登場する男女ペア。オルゴールから飛び出してくる迫力満点の2人。互いの身体だけで自在に飛び回る様子はまるで高所鉄棒競技。誘惑するような女性に対し筋肉質な男性の力強さがより男らしさを強調させ、序盤から観客の目を奪います。まさに固い絆で結ばれた2人。

エアリアル・バイシクル】
郵便配達の少女が宙を回転する自転車にまたがりぐるんぐるん華麗にパフォーマンスを決めて行きます。地上ではそんな少女に恋する《ミスター・マイクロコスモス》。大きく膨らむ腹部には彼の中核を担う《ミニリリー》が存在し彼の心を反映しています。

【透明サーカス】
透明サーカスの題に恥じないサーカス団一行。彼らが見えているのは団長のみ。綱渡りやプールへの飛び込み、更には猛獣までもが透明で、観客がどれほど目を凝らしても誰にも見えない。それが彼の透明サーカス。お茶目な団長に拍手喝采でした。

【コントーション】
まるで深海生物を彷彿させるような奇妙な衣装に無表情の4人の女性。電気ウナギを模した彼女らは軟体生物のごとく自在に身体を歪め目を疑うようなポージングをきめていきます。そのスピード感には誰も目が追いつかず、今自分が何を見ているのか混乱するような巧みな技量で翻弄させる彼女達はまさに本物です。

【バランシング・オン・チェア】
そこはまるで不思議の国に迷い込んだかのような破茶滅茶な晩餐会。ターバン男の《メンタリスト》が卓上のシャンデリアを宙高く浮かせたと思えば、晩餐会のメインとなる高貴な男性が絶妙なバランスで机の上に椅子を積み重ねていきシャンデリアへ手を伸ばす。と思いきや天井には逆さまになった鏡写しの自分達の姿が。上下から椅子を積み重ねて2人の自分が見事シャンデリアを手にします。まさに努力と勇気の象徴。

【ローラ・ボーラ】
何を言おう今回私の1番のお気に入りで完全に虜になってしまった演目がこれである。ガラクタで作り上げた小さなプロペラ機に乗り操縦するは怖いもの知らずのパイロット。彼はプロペラ機を着陸させると、そこはもう彼の舞台に大変身。ビーカーの様な筒と板を組み合わせその上で巧みにバランスを取ります。その驚異的なバランス感覚は地上だけに留まらず大きな振り子のセット上で揺れ動く不安定な足場でもなんのその。何よりその姿がずば抜けて目を惹く。陽気にこなして見せる彼はとてもかっこいいのです。最後はシーカーをプロペラ機に乗せ、更に夢の深みへと誘い1幕が幕を下ろします。




【アクロネット】
最初に感じた彼らの身のこなし様はまるで《カエル》のよう。雨降りの中アコーディオンの身体を持つ《ニコ》が《ミニリリー》に傘をかざす優しい世界、その水辺ではトランポリンのようにネットを使い自在に飛びまわる彼らは深海の生物を模した姿。陽気な曲に合わせ群でいる彼らが協力しあい楽しそうに舞う姿は観ている側も飛び出したくなるような気持ちにさせます。深海での賑やかな祭典は2幕の幕開けにぴったりな演目でした。

【コミック・アクト】
1人の男性アーティストが客先から1人の女性を見繕い舞台上へ。様々な手を使い彼女を誘惑しますが中々上手くいかず、挙げ句の果てには小鳥や猫達の妨害を受け…。彼の小さな恋心の行方はいかに?

エアリアル・ストラップ】
筋肉質の力強い男性がロープにつかまりステージ上の高所で様々なアクロバットを繰り広げるその様はまさに野獣。主体性と二重性がテーマのこの演出ですが、今回は1人での演技でした。腕のみで身体を水平に保つ姿はエネルギッシュで真の力強さが滲み出る演出に完敗です。

【ヨーヨー】
そう彼はヨーヨー使い。彼の手に掴まれたヨーヨー、もとい懐中時計はまるで自由を失ったかのように《時の案内人》によって全てを操られます。重力を感じさせない、掌に引力でも持ち合わせているのだろうかと思わず疑ってしまうような。そんな、何とも不思議な気持ちにさせられます。

【シアター・オブ・ハンズ】
巧みに手を使い1人の人を表現する演目。1人の男の日常を流れるように、細やかにかつ大胆に表現しています。宙に浮かんだ熱気球のスクリーン上に映し出されるのは優しい世界そのもの。水や観客を利用する演出は笑いと平和をもたらします。

【バンキン】
これぞ団体演出。約10人程の男女が軽やかに互いの手から手へ、肩から肩へ自在に飛び回ります。不安定な足場から更に不安定な足場へ。止まらぬスピード感溢れる曲に合わせ一矢乱れることなく更なる高みへ上り詰めていく彼らはトリを務めるのに最高にマッチ。終盤には客席通路で、男性の肩を歩き回る女性達のパフォーマンス。目前にして彼らの弾けんばかりの笑顔と、突拍子もないことをやってのける精神に美しさをも感じます。

【フィナーレ】
舞台上のカラクリ時計は遂に11:12の時を刻み世界は動き始めます。シーカーは夢から現実へ引き戻され、あれは何だったのかと考えます。勿論トランクを開けても何も出てきませんし、部屋に置いてある蓄音機はもう二度と動き出すことはないでしょう。そんな彼の背後に忍び寄る影。振り返るとキャラクター達が笑顔で戻ってきます。シーカーは大喜びで、最後はみんなでフィナーレを迎えます。

本作品は公式でも、最後のフィナーレのみ携帯電話での写真撮影が公認されています。珍しい。

予想を上回る感動とわくわくでとっても楽しめました。通常のお値段だとサーカスね、高いのよ…😂その代わりそれに見合う価値は当然あります!とは言え、リピート割引があるので、今度妹を連れて福岡を離れる前にもう一度観に行きます☺️